ニフジ アキラ   Nifuji Akira
  二藤 彰
   所属   鶴見大学  歯学部 歯学科 薬理学
   職種   教授
研究期間 2003
研究課題 シャトル型Cas結合蛋白CIZによる骨芽細胞の転写・細胞接着機能制御の分子機構
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 萌芽研究
科研費研究課題番号 15659352
キーワード 接着斑, アルカリフォスフォターゼ, 骨髄内海綿骨, 骨芽細胞, CIZ, 転写, 破骨細胞, 骨形成因子
代表分担区分 研究分担者
代表者 野田 政樹
概要 CIZは核および接着斑に存在し、また転写の調節作用をあわせ持つシャトル型蛋白であり、骨芽細胞におけるその発現は骨形成因子(BMP)により促進し、同時にまたBMPの作用そのものを抑制する活性があることがこの蛋白の細胞における強制発現の結果、我々により報告された蛋白である、しかしながらCIZの生体内における意義は尚明らかでない。そこでCIZのノックアウトマウスを用いて生体内におけるこの分子の役割を検討した。その結果、CIZの欠損により海綿骨の骨量が増加すること、また正常なマウスにおいては骨髄内海綿骨の機械的な破壊により形成された欠損部に対し、骨の形成が1週間以内で進行するが、CIZの欠損したマウスにおいてはこの再生過程における骨形成が亢進することが明らかになった。さらに野生型がBMPの存在によりアルカリフォスフォターゼ活性の発現を高めるのに対し、CIZを欠損した動物より得られた頭蓋冠由来の骨芽細胞はこれを上回るアルカリフォスフォターゼ活性の発現をするが、これはBMPに対する応答性が亢進していることを示している。さらにBMP蛋白を頭蓋冠上に直接投与すると野生型においても骨の形成が起きるが、ノックアウトマウスにおいてはこのようなBMP応答性の生体内の骨形成がさらに高まることが見出され、BMPの直接作用を生体内でCIZが抑制することが明らかとなった。CIZの細胞内における局在を検討すると、骨芽細胞において接着斑における存在とともに核内に高いレベルで局在すること、また骨芽細胞においても全ての細胞で核内に局在するのではなく、局在を認めない細胞が骨芽細胞株を用いた場合でも多数認められた。さらに興味深いことに破骨細胞においてもCIZが発現しており、その発現レベルは骨芽細胞と同様に核内に極めて高い一方で同じ破骨細胞においても高レベルの局在を示す核と局在を示さない核が混在することからCIZの局在がall-or-noneで制御されているものと考えられた。以上のノックアウトマウスを用いた実験から生体内におけるCIZが骨量制御に重要であることが初めて明らかになった。