サトムラ カズヒト   Satomura Kazuhito
  里村 一人
   所属   鶴見大学  歯学部 歯学科 口腔内科学
   職種   教授
研究期間 2003~2004
研究課題 骨髄間質細胞から分化誘導した神経細胞の電気生理学的機能解析
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
科研費研究課題番号 15592115
キーワード 分化誘導, 細胞外電位, 骨髄間質細胞, NGF, 神経細胞
代表分担区分 研究分担者
代表者 富岡 重正
概要 マウス骨髄間質細胞に細胞成長因子を添加して神経細胞に分化誘導した。この神経細胞を神経細胞に特異的な分子マーカーであるNestin、Neurofilament、GFAP(Glial fibrillary acidic protein)の抗体を用いた免疫細胞化学法にて調べたところ、すべての抗体に対して細胞が染色され骨髄間質細胞が神経細胞に分化していることが確認された。その後、この分化誘導した神経細胞が神経細胞としての興奮機能を有しているか否かを細胞外電位を記録することにより電気生理学的に検討をおこなった。シャーレ上の神経細胞に3M KClで満たされたガラス管電極を刺入し細胞外電位を記録した。その結果、ほとんどの神経細胞から自発放電を記録することができた。さらに細胞に脱分極電流を流すと、ナトリウム電位に類似した波形が記録された。また、この状態において神経成長因子であるNGF(Nerve growth factor)を100ng/mlで添加し細胞外電位を観察した。シナプス形成のある細胞数の多い培養条件では、NGFを添加することにより1分以内に細胞外電位の振幅の増大がみられた。この増大は次第に大きくなり、3分後で最大となった。その後徐々に減弱し投与5分後には消失した。消失後、同濃度のNGFを追加しても同様の現象がみられたが、3回目以降の投与ではNGFによる効果はみられなかった。また。このNGFによる効果は、細胞間のシナス形成がほとんどない培養条件ではみられなかった。以上の結果から、骨髄間質細胞から分化誘導した神経細胞は電気生理学的に興奮機能を有しており、この細胞の興奮性にはナトリウムチャネルが関与していることが示唆された。また、NGFは一過性であるがこれら分化誘導した神経細胞の興奮機能およびシナプス伝達機能を増強することが示唆された。