アベ ケイコ   Abe Keiko
  阿部 佳子
   所属   鶴見大学  歯学部 歯学科 歯科麻酔学
   職種   准教授
研究期間 2006~2007
研究課題 軽微な侵害性刺激と非侵害性刺激を併用した新しい鎮痛法の開発
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 若手研究(B)
科研費研究課題番号 18791485
キーワード TENS, DNIC
代表者 藤井 佳子
概要 従来、物理的な鎮痛法として用いられてきた鍼刺激や経皮的電気刺激などは、非侵害性のAβ線維刺激により鎮痛を生じるGate Control Theoryに基づいた鎮痛法である。一方、異所性の侵害刺激を与えると遠隔部の痛みが減弱する広範囲侵害抑制性調節(Diffuse Noxious Inhibitory Control: DNIC)がある。この鎮痛メカニズムはAδ・C線維を介した下行性痛覚抑制系の賦活による。これまでわれわれは、歯に電気刺激を与えて得られる体性感覚誘発電位を客観的指標として、腕に侵害性電気刺激,虚血性侵害刺激,CO_2レーザー刺激を与えて、歯の痛みが20〜40%程度減弱することを明らかにしてきた。今回は、Gate Control TheoryとDNICの2つの鎮痛メカニズムを利用した新たな鎮痛装置の開発を試みた。まず鎮痛装置として侵害性および非侵害性の電気刺激を出力できる装置を考案・製作した。 本装置は電気的に独立した侵害性と非侵害性の2つのパルス出力チャンネルを持つ刺激装置である。波形は矩形波を利用し、パルス幅は50μsから1sまで,パルス波高値は2から30Vまで可変できる出力特性を有する。パルス間隔、各チャンネルの刺激発生頻度、パルスバーストの周期は1msから10sまで、バースト内のパルス数も任意に設定できる。必要に応じて侵害性および非侵害性の電気刺激を発生できるように設計した。 さらに本年度は、本装置を利用して左右手首の正中神経に刺激電極を置き、侵害性・非侵害性・その両方の電気刺激を与えた。歯に電気刺激をして得られる体性感覚誘発電位を客観的指標とし、手への侵害性・非侵害性・その両方の電気刺激を与えた時、どの程度歯の痛みを減弱させるかを現在硬究中であり、侵害性・非侵害性の両方の電気刺激を与えた時に歯の痛みが最も減弱する傾向を示すが、さらなる追加研究が必要である。