ニフジ アキラ
Nifuji Akira
二藤 彰 所属 鶴見大学 歯学部 歯学科 薬理学 職種 教授 |
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研究期間 | 2001~2003 |
研究課題 | 骨・軟骨分化機構の分子的基盤を目指した、機能的遺伝子単離システムの開発及び応用 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 基盤研究(B) |
科研費研究課題番号 | 13557153 |
キーワード | BMP, 骨, 軟骨, クローニング, 分化 |
代表分担区分 | 研究代表者 |
代表者 | 二藤 彰 |
概要 | 本研究課題は骨軟骨分化に関わる重要な分子の機能的遣伝子単離システムの開発を行うことを目的として、次の主要な5つの戦略に基づく研究を行った。 1)軟骨分化のアッセイ法の確立 2)C1細胞からのプラスミド、cDNAライブラリーの作成 3)全cDNAラィブラリーの細胞へのレトロウイルスを介した遺伝子導入 4)発現スクリーニング 5)FACSによるスクリーニング 6)導入された遺伝子の回収、塩基配列の決定 骨軟骨分化アッセイ法に関しては軟骨分化の指標となるXI型コラーゲン遺伝子のプロモーターを含む転写調節領域にLacZをつないだベクター(以下pXIcol-Z)を組み込んだ安定変異株を作製し、そのなかからBMPに応答してLacZの誘導が顕著に認められるものを選択した。でXI型コラーゲン遺伝子のプロモーターを含む転写調節領域にLacZをつないだベクターpXIcol-Zをトランスフェクトして得られたstable clone pR5-1は単層培養ではpXIcol-Zをほとんど発現していない。一方凝集塊を作って培養すると低レベルの発現がみられ、BMPを作用させると、さらに強い発現が認められた。したがってこのclone pR5-1を軟骨分化のモニターに用いた。 間葉系幹細胞C1の分化において既知の機能制御分子は細胞凝集塊形成期に現れることがこれまでの解析から判明している。そこで細胞凝集塊形成期のC1細胞からRNAを抽出しプラスミドcDNAライブラリーの作成を行った。全長平均1.5kb,10^5オーダーのプラスミドライブラリーの作製に成功した。そのライブラリーをretrovirus packaging cell line pMYに遺伝子導入し、培養上清を回収、濃縮してレトロウイルスcDNAライブラリーとした。ウイルスが含まれる部分を遠心分離しtiterをチェックした。このウイルスラィブラリーを1)で作製した細胞に感染させた。感染させた全細胞をLacZの蛍光基質を混ぜた後にFACSにかけ、蛍光の強く得られた細胞をsortingした。その細胞群をlimiting dilutionし、細胞のクローニングを行った。それぞれの細胞クローンのLacZ活性を測定し、LacZ活性に基づくsortingがうまく働いていることを確認した。さらにゲノムDNAを抽出し、ウイルスのintegrationを確認した。さらにウィルスが組み込まれた部分のPCRを行い,サブクローニングすることで組み込まれたcDNAの同定を行った。異なる細胞クローンから多くの遺伝子が回収され、遺伝子の塩基配列決定並びに遺伝子の機能解析を行っている。 上記研究において得られた有意義な知見としてはプロモーターの直下にLacZを挿入し、安定変異株でプロモーターの活性をモニターする系が可能であること、FACSのsortingを用いれば、LacZを指標としてもプロモーターの活性化した細胞を濃縮することが可能であること、幹細胞C1、由来のレトロウイルスベクターに組み込んだcDNAライブラリーの作製が可能であったこと、その回収も容易であったことなどである。したがって本研究の目的である、機能的遺伝子単離システムの開発を行う基盤は完成したと思われる。 |