ニフジ アキラ
Nifuji Akira
二藤 彰 所属 鶴見大学 歯学部 歯学科 薬理学 職種 教授 |
|
研究期間 | 2001 |
研究課題 | 骨格形成における軟骨系シグナル分子群の機能解析 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 特定領域研究(A) |
科研費研究課題番号 | 13045011 |
キーワード | 骨格形成, 軟骨形成, 転写, プロモーター, Cbfa1, レチノイン酸, 分化シグナル |
代表分担区分 | 研究分担者 |
代表者 | 野田 政樹 |
概要 | 本年度においては軟骨のシグナル系としてCbfa1の制御に関わるヘッジホック遺伝子の機能を検討した。この結果ヘッジホッグの存在により、初代培養軟骨細胞においてCbfa1の発現レベルの上昇が観察され、更にCbfa1のプロモーターの解析によりヘッジホッグによるシグナルが転写を制御する経路にあることを明らかにした。更に軟骨分化系シグナルであるSox9の発現とその制御について検討を行った。この結果、Sox9分子が初代軟骨培養細胞において高いレベルにおいて発現すると共に、レチノイン酸によってその発現が急激に抑制されることが明らかとなり、その抑制様式は用量依存性で0.5μMから観察され、1:0μMでピークで達した。更にレチノイン酸によるSox9の遺伝子発現は、時間依存性で12時間以内に最大の抑制が観察された。レチノイン酸の軟骨分化制御転写因子Sox9の遺伝子発現に対する作用が遺伝子発現のどのレベルにあるかを検討した結果、ヌクレアーランオンアッセイによって単離された核の中における転写がSox9により抑制される一方で、形成されたメッセンジャーRNAの安定性を検討した結果からは、レチノイン酸の存在によってもメッセンジャーRNAの半減期は殆ど変化がない。これらの結果から軟骨分化シグナルの転写因子であるSox9の発現はレチノイン酸によって転写を中心とした制御を介することが明らかとなった。またウエスタンブロッド法によってレチノイン酸によるSox9遺伝子の発現調節が69kDのSox9の蛋白そのものの発現を抑制することであることを示した。次にSox9の強制発現によってレチノイン酸によるII型コラーゲンプロモーターの活性への影響を調べたところ、Sox9は軟骨分化促進シグナルとしてII型コラーゲンプロモーターのエンハンサーの活性を促進したが、レチノイン酸の存在によってSox9による促進活性が阻止されることが明らかとなった。以上より、軟骨系シグナル分子であるSox9、ヘッジホッグの細胞の分化に対する機能が明らかとなった。 |