ニフジ アキラ
Nifuji Akira
二藤 彰 所属 鶴見大学 歯学部 歯学科 薬理学 職種 教授 |
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研究期間 | 1992~1993 |
研究課題 | TGFβによるオステオポンチン遺伝子転写調節機構の研究 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 一般研究(B) |
科研費研究課題番号 | 04454372 |
キーワード | 遺伝子, クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ, プロモーター, オステオポンチン, トランスフェクション, DEAE-デキストラン |
代表分担区分 | 研究分担者 |
代表者 | 緒方 敏子 |
概要 | 本研究においてはマウスのオステオポンチン遺伝子を用い、この上流の転子開始位置より約1,000bp5'側のDNA断片を用いてクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を報告遺伝子としたベクターを作製した。この作製したベクターはそれぞれ欠失遺伝子を持つ3種類のベクターに分けて作製され,それぞれを骨芽細胞様細胞ROS 17/2.8ならびにマウス由来の正常骨芽細胞様細胞MC3T3E1にトランスフェクトをした上でTGFβ1を用いた処理を行いCATアッセイの下にプロモーター活性を評価した。このコンストラクトのプロモーター活性はそれぞれの欠失の後の長さにほぼ比例するものであり,特にvitamin Dのレスポンスエレメントの存在する740bp前後の領域を欠いたものでは明らかなvitamin Dへの応答活性の消失を見た。しかしながらTGFβに対する反応は、なお残存しており、これらを解析するべく更に545bpならびに243bpの2つの短い変異についての検討を進めた。この結果TGFβによる促進活性は最も短いプロモーターについても検出され,この領域におけるTGFβによって修飾されるタンパク性因子のDNAに対する結合作用及び相互作用が推測された。DNA配列に基づくこの領域におけるコンセンサス配列は従来TGFβ反応領域として報告されているものを含んでおらず、オステオポンチンプロモーターが新しいTGFβレスポンスエレメントを介して、その発現を調節されることが推察された。またこれらのオステオポンチンの領域においては間葉系の細胞の分化を進めるHelix-Loop-Helix型の結合配列のコンセンサスであるE-Box配列(CANNTG)が存在しており、これらのCANNTGを介する発現の調節が考えられた。Helix-Loop-Helix型タンパクはvitamin Dによってその活性の発現の抑制が明らかとなり、これに対しオステオポンチンの遺伝子は鏡像的にその発現が促進される。このようなことからvitamin Dの作用の少なくとも一つは、このHelix-Loop-Helixを介する事、更に直接作用を以てオステオポンチンの遺伝子発現を促進するのみでなくオステオポンチンのE-Boxに対する抑制の解除等を介するような二次的な働きの存在が推察された。オステオポンチンはマウスの細胞培養期間中に分化を示すMC3T3E1細胞でもその分化の進展と共に発現する事が明らかとなっているが、これらの発現の増加と反対にMC3T3E1細胞の分化段階に伴って低下するHelix-Loop-Helixタンパクのldタンパクの存在が明らかとなった。MC3T3E1細胞は更にBMPはオステオポンチンを初め骨芽細胞の分化形質である遺伝子を発現するが、このBMPもまたHelix-Loop-Helixタンパクの一部であるIdの遺伝子を発現することが明らかとなった。この発現促進の時間経過は比較的短期であり、Helix-Loop-Helixタンパクのポジティブ型とネガティブ型とのバランスの下に行われることが推察され、これにより活性化された分化に正方向に働くHelix-Loop-Helixタンパクの分子群のオステオポンチンプロモーターのE-Boxに対する結合が今後検討されるべき点となった。 以上オステオポンチンのプロモーター部分の解析により、この部位におけるTGFβの比較的転写開始部位近位における調節機能の存在が明らかとなり、またTGFβやBMPによる、あるいはvitamin DによるHelix-Loop-Helixタンパクのバランスの変化を介するオステオポンチンの遺伝子のプロモーター活性の調節が、この遺伝子の上流に存在するE-Box配列により仲介される可能性が示された。 |